「はるか」(MUSES‐B衛星)

更新:2002年7月

 「はるか」はVSOP計画のために開発された人工衛星です。宇宙科学研究所の新型ロケットである、M-Vロケット第一号機によって、1997年2月12日に打ち上げられました。その成功を受けて、衛星は「はるか(HALCA)」と改名されました。

 「はるか」は、開発中にはMUSES-B(ミューゼスB)と呼ばれていました。MUSESはMu Space Engineering Satellite(Mu科学工学衛星)シリーズ、Bはシリーズの2番目の衛星という意味です。Mu(ミュー)というのは、宇宙科学研究所のロケットの名前です。MUSESシリーズの最初の衛星であるMUSES-A衛星は、1990年の打ち上げ後に「ひてん(飛天)」と改名されました。(「飛天」とは、仏教における天人・天女を意味します )

 「はるか」は、VSOP計画の衛星として、VLBI観測用アンテナを宇宙空間に置くために開発されました。電波天文観測のための人工衛星にもかかわらず、ASTRO(アストロ:天文衛星)シリーズではなく、MUSES(工学実験衛星)シリーズに位置付けられたのは、「はるか」の開発に当たって多くの科学技術・工学的な課題があったからです。搭載される電波天文観測のための機器大型の構造物を持つ衛星の姿勢制御精密な軌道決定相関処理技術など・・・。なかでも大型パラボラアンテナの展開と精密な鏡面の形成は、最も難しい実験といわれていました。しかし衛星打ち上げから約2週間後の2月24〜28日にかけて、この大型アンテナの展開に無事成功しました。

 アンテナ展開後の「はるか」の様子は、軌道上での衛星想像図で見ることができます。

 近地点高度を上げるために3回の軌道制御を行い、「はるか」は今、遠地点高度21,400キロメートル、近地点高度560キロメートルの軌道にあります。楕円形の軌道は、衛星と地上の望遠鏡との連携によって、高い解像度電波天体の画像が得られています。 軌道は、31度 (鹿児島宇宙センターの緯度 ) の傾斜角を持ち、軌道周期は約6.3時間です。

 打ち上げ前には、「はるか」の寿命は、およそ3年と考えられていました。「はるか」は、ちょっと特殊な軌道を持っているために、放射線の多いところを通ることになります。この放射線による太陽電池パネルの劣化が、寿命を決定する要因であると考えていました。
 ただ、実際打ち上げ後のデータを見てみると、3年経った現在でも、太陽電池だけ見ればあと2、3年は持ちそうです。ただ、別の個所にそろそろガタが出始めています。
 せっかく上げた衛星ですから、観測ができなくなるまで運用を続ける予定です。
 

 衛星についての詳細は、広沢春任教授等による論文 “スペースVLBI衛星 MUSES-B の設計(英語)” を参照してください。 圧縮されたポストスクリプト ( 38kbyte ) 圧縮されないポストスクリプト ( 93kbyte ) の各フォーマットで利用できます。

 

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